「申します」と「言います」の違いをやさしく解説|迷わない判断基準
「私は田中と申します」と「私は田中と言います」。どちらも自己紹介で使えそうなのに、いざ書こうとすると手が止まることはありませんか。特に仕事のメールや学校への連絡帳など、少し丁寧に書きたい場面ほど迷いやすい表現です。
なんとなく「申しますのほうが丁寧」と思っていても、どこまでが適切なのかはあいまいなまま。この記事では、難しい敬語の説明は使わずに、日常の感覚で分かる使い分けの目安を整理します。
「言います」は事実をそのまま伝える言い方
「言います」は、内容や発言をそのまま伝える、いちばん基本の表現です。
特別にへりくだる気持ちは含まれていません。あくまで「言う」という動作を説明している言葉です。
つまり、気持ちの上下をつけずに、フラットに伝える言い方だと考えると分かりやすくなります。
具体例
・私は田中と言います
・子どもが「明日は遠足だ」と言います
・その先生は「宿題はない」と言いました
どれも、「誰が何を言ったか」という事実をそのまま伝えています。
そこに「相手を立てる」「自分を下げる」といった意識は入りません。
使われる場面
・家族との会話
・友人や同僚とのやり取り
・子どもとの会話
・カジュアルな自己紹介
たとえば、子どもが「ママって呼んでいい?」と聞いてきたとき、「そう言ってくれてうれしいよ」と返す場面。ここでは自然な日常語として「言う」が使われています。
また、地域の集まりで軽く自己紹介をするときに「田中と言います」と言うのも不自然ではありません。
距離の近い場面では、むしろ自然でやわらかい印象になります。
間違いやすいポイント
「言います」は失礼な言葉ではありません。ただ、あらたまった場面では少しフラットに響くことがあります。
たとえば、初対面の取引先にメールで
「山本と言います」と書くと、間違いではないものの、やや軽く感じる人もいます。
ここで違和感が出るのは、言葉そのものが悪いのではなく、場面に対して少しだけカジュアルに聞こえるからです。
「申します」は自分を低くして伝える言い方
「申します」は、自分のことをへりくだって伝える言い方です。
相手を立てる気持ちが含まれています。
ポイントは、「自分側の動作」に使うという点です。
具体例
・私、田中と申します
・父がそう申しておりました(ややかしこまった場面)
・後ほど改めてご連絡申します
特に自己紹介でよく使われます。
使われる場面
・初対面のあいさつ
・仕事のメール
・学校や園への正式な連絡
・かしこまった場での発言
たとえば、保護者会で
「○○の母、田中と申します」とあいさつすると、自然に丁寧な印象になります。
相手との距離がまだ近くない場面では、「申します」のほうが安心感があります。
間違いやすいポイント
「申します」は、自分側の動作に使うのが基本です。
目上の人に対して
「先生がそう申しました」と言うと、不自然に聞こえることがあります。
この場合は
「先生がおっしゃいました」
という別の言い方になります。
ここを混同しやすいので注意が必要です。
自己紹介での使い分け
いちばん迷いやすいのが、自己紹介の場面です。
・私は田中と言います
・私は田中と申します
どちらも間違いではありません。ただ、印象が少し変わります。
家庭やカジュアルな場面
・子どもの習い事の見学での軽いあいさつ
・地域イベントでの立ち話
・ママ友との初対面
このような場面なら「田中と言います」で十分自然です。
やわらかく、親しみやすい印象になります。
かしこまった場面
・会社の面接
・取引先との初対面
・学校の正式なあいさつ
このような場面では「田中と申します」のほうが落ち着きがあります。
迷ったときは、
「相手との距離がまだ遠いかどうか」
を基準にすると選びやすくなります。
家庭・子どもとの会話ではどう使う?
家庭内で「申します」を使うことは、ほとんどありません。
たとえば、
・「先生が明日は参観日だと言ってたよ」
・「パパはあとで帰るって言ってたよ」
ここで「申していたよ」と言うと、急に距離が出てしまいます。
日常会話では「言う」が基本と考えて大丈夫です。
ただし、子どもに敬語を教えるときは別です。
「先生には『田中と申します』って言うんだよ」
というように、場面に応じた言葉として説明することはあります。
書き言葉での印象の違い
会話よりも、文章になると印象の差がはっきりします。
仕事のメール
・株式会社〇〇の田中と申します。
・ご連絡が遅くなり申し訳ございません。
このような文章では「申します」が自然です。
丁寧で落ち着いた印象になります。
カジュアルな文章
・ブログやSNS
・親しい人へのメッセージ
・地域のグループチャット
この場合は「言います」で十分です。
すべてを「申します」にしてしまうと、
少し硬すぎて距離を感じさせることもあります。
大切なのは、「丁寧さ」と「自然さ」のバランスです。
丁寧にしたい気持ちがあっても、場面に合わなければ違和感になります。
逆に、自然さだけを優先すると、かしこまった場では軽く見えてしまうことがあります。
まとめ|「申します」と「言います」の使い分けはこう考える
「言います」は、事実をそのまま伝える基本の言葉。
「申します」は、自分をへりくだって伝える言葉。
大きな違いは、「相手との距離」と「場面のあらたまり具合」です。
・家庭や日常会話なら「言います」
・初対面や仕事の場なら「申します」
正解・不正解で考える必要はありません。
「この場面で、少し丁寧にしたいかな?」と感じたら「申します」。
自然な会話なら「言います」。
そう考えるだけで、迷いはぐっと減ります。
今度自己紹介を書くとき、
「いまはどんな距離の相手かな」と一度思い出してみてください。
きっと、すっと選べるようになります。